英文をたくさん読む「多読」。英語学習に多読を取り入れることで、リーディング力の向上以外にもたくさんの効果を得ることができます。多読は効果が出るまで時間がかかるイメージがあるかもしれませんが、効果的に多読をすることが結果的に短期間で英語力をアップさせることにつながります。
この記事では、多読とは何か、多読の具体的なメリットや効果を上げるためのルールなどを解説します。今すぐ始められるおすすめのオンライン教材やアプリもご紹介するので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
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英語の多読とは
多読とは、文字通りたくさん読むこと。分からない単語があっても飛ばし、ざっくりとした意味を把握しながらとにかく読み進める読書法です。たくさん英文を読むことでリーディング力を高めるのはもちろん、大量の英文や英単語にふれることにより、語彙の定着やリスニング力の強化にも活かすことができます。
外国語を学ぶ際に多読が有効であることは、昔から多くの研究者や指導者が伝えています。ただし、急にペーパーバックで英語の小説などを読み始めると挫折してしまうことも多いことに注意しましょう。
最初はゆっくりとしか読めなくても大丈夫です。英語の文章を読めるだけの基本的な英語力を身につけた上で、コツをおさえて効果的に継続すれば、次第に読むスピードもアップしていきますよ。
精読との違い
多読と混同されやすい学習法に精読があります。精読は一語ずつ確実に読んで文章の正確な意味を読み取るトレーニングです。わからない単語は辞書をひいて調べ、英文を後ろから読んだりして日本語に訳しながら意味をとっていく読み方です。
日本の学校教育の英文読解では精読がよく使われます。英文を日本語に訳して理解するため文章の意味や構造を正確に把握することができる、リーディングの質を重視した読み方です。
一方で多読はリーディングの量を重視した読み方といえます。同じリーディングでも、多読と精読はまったく異なる勉強法なのです。
リーディング力向上だけじゃない! 多読のメリット5つ
多読はリーディングスキルの向上に役立つ勉強法と思われるかもしれませんが、多読がもたらす効果はそれだけではありません。多読のメリットは以下通りです。
- 読解力が上がる
- 英語で意味をとれるようになる
- 語彙力が上がる
- リスニング力が上がる
- TOEICのスコアが上がる
それぞれ解説していきます。
メリット①読解力が上がる
多読に取り組んでいると、まずはシンプルに読解力が上がったことに気付くでしょう。たくさんの英文にふれるので何度も同じ文法や単語を目にすることになり、知識が定着します。多読を繰り返すうちに英語の構造に慣れ、単語単位ではなく段落や文章のかたまり単位で理解できるようになるため、読解の正確さやスピードが向上していくのです。
読解力は学校や試験だけでなくビジネスでも非常に重要です。会話力だけでなく文章を読むスキルを伸ばすことは、英語を上達させるうえで欠かせない要素となります。
メリット②英語で意味をとれるようになる
多読で英文を読むスピードが上がるにつれて、英語を日本語に訳して理解するのではなく、英語のまま理解できる「英語脳」が鍛えられます。英語脳を養うことで基礎英語力が底上げされ、リスニングなどのスキルアップにもつながります。
日本語に訳して理解しようとすると、英文を後ろから読み返すなど順番を変える必要があるため読解に時間がかかります。しかし、英語のまま理解できるようになると英文を頭から読み進めることができるので、速く正確に読むことが可能になります。これによってTOEICなどの試験の長文読解問題の点数アップが狙えるだけでなく、ビジネスシーンで情報収集をする際にも役立ちます。英語の速読には英語のまま意味をとれるようになることが不可欠です。
メリット③語彙力が上がる
たくさんの英文を読むことによって、語彙が定着して英語のボキャブラリーが増えていきます。それぞれの単語がどのように使われてどのような役割を果たしているのか、語法や単語の使い方も覚えることができます。単語帳で暗記するのが苦手な方でも、多読で記憶に定着させることができるのでおすすめです。
また、英文を読むことに慣れると、文章中で知らない英単語が出てきても文脈から意味を推測して読み進めることができるようになります。後から知らない単語の言い換え表現が出てくることもあるので、類語とともに覚えられることもあります。多読で英語にたくさんふれることで、自然と語彙力が上がるのです。
メリット④リスニング力が上がる
リスニングをしているとき、私たちの脳は音を聴いて認識する「音声知覚」と、認識した文章の意味を理解する「意味理解」の2つの仕事をしています。この2つを同時に行う必要があるのですが、リスニングが苦手な方は音声知覚ばかりに脳のキャパシティを使ってしまうため、意味理解までできないことが多いのです。多読をすると英語を英語のまま理解できるようになり、さらに語彙力が増えることで、意味理解のスピードを速めることができるため、リスニング力がアップします。
英会話のステップ | 英語の技能 | 内容・特徴 |
音声知覚 | リスニング | 英語の音声を聞いて、聞こえてきた単語やフレーズを認識する段階 |
意味理解 | リスニング | 聞こえてきた英語の単語やフレーズ、そして文章の意味を理解する段階 |
ちなみに、音声知覚を無意識レベルでできるようになるためにはシャドーイングで訓練することが大切です。多読とシャドーイングを組み合わせて学習することで、リスニング力を着実に向上させることができます。
この音声知覚や意味理解についての詳しい情報を知って、ご自身のリスニング勉強の課題を知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
シャドーイングのやり方や効果について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
メリット⑥TOEICのスコアが上がる
多読で読解力や語彙力、リスニング力が上がり、基礎英語力を底上げすることができるので、TOEICなどの資格テストのスコアも自然と上がるでしょう。転職やキャリアアップなどのために資格試験のスコアアップが必要な場合にも、多読は効果的な方法といえますね。
ただし、TOEICのスコアを一定以上のレベルに上げるにはただ多読するだけでなく「速読」も必要となります。読むスピードは1分間当たりに読める単語数を示す「WPM」という指標で測ることができます。WPMを上げるために速読も組み合わせて行いましょう。
読み方で変わる! 多読の効果を上げるルール
多読をしようと英語の本を読んでみたものの、すぐに挫折してしまったという方もいるかもしれません。多読を行う際には、以下のルールに従うことで短期間で効果を上げることができます。
- わからない単語があっても辞書をひかずに読む
- 返り読みをしない
- 興味をもてる本を選ぶ
- 読みにくければ本を変える
- アウトプットの機会を増やす
詳しく解説していきます。
わからない単語があっても辞書をひかずに読む
多読のポイントは、おおまかな意味を取りながらとにかくたくさん英文を読むことです。わからない単語があるからといっていちいち辞書をひいて調べていると、スムーズに読み進めることができません。スムーズに進められないとストーリーを楽しむことができないので、挫折してしまう可能性が高くなります。
多読ではわからない単語があっても飛ばして読み進めることが大切です。イラストや挿絵などで理解することができるかもしれませんし、後でその単語を別の表現で言い換えた文章が出てくるかもしれないので、とにかく先に進んでストーリーを楽しみましょう。
わからない単語がありすぎる場合は、教材に選んだ本が自分のレベルに適していないということかもしれません。辞書を引かなくてもスムーズに読めるレベルのものを選ぶと良いですね。
返り読みをしない
返り読みとは、英文を頭から順に読んでも意味がとれなかったときに、同じ文章を繰り返し読んで理解しようとすることです。精読では英語を日本語に訳すために返り読みをすることが多いですが、返り読みをしていると英文を読むのに時間がかかり、ストーリーが進まないので面白みを感じにくくなってしまいます。
多読では意味がとりにくい英文があっても気にせず、頭から順に読んでいきましょう。慣れてくると英語の語順のままで意味をとれるようになってくるので、そのトレーニングだと思って続けることが大切です。
興味をもてる本を選ぶ
英語学習のためとはいえ、普段ノンフィクションをまったく読まない人が急に読んでも楽しみを見出しにくいかもしれません。多読の教材は自分が興味をもてるかという観点で選ぶのが何よりも大切です。
学習は興味があることを楽しんでやるほうが充実した内容になります。興味のない内容の本を読むことに比べると、毎日続けるモチベーションも維持しやすく、定着も早いでしょう。興味のあるジャンルのほうが基礎知識があるため、英文でも読みやすいというメリットもあります。
読みにくければ本を変える
読み始めた本に興味がもてなかったりスムーズに読み進めにくかったりするなら、気にせず次の本を探しましょう。同じジャンルの本でも作者や作品によって読みやすさが違うのはよくあることです。「難しすぎる」「つまらない」と感じたら今の自分のレベルや興味分野に合っていないということなので、面白くなかったら途中でやめ、他にワクワクする本を探しましょう。
大切なのは、挫折せずに続けることです。面白くもないのに学習のためと我慢して修行のように読む必要はありません。いったん挫折するとリーディングに対する苦手意識が強くなる可能性もあるので、気軽に取り組めるような教材を探してみましょう。
アウトプットの機会を増やす
多読はリーディング力だけでなく基礎英語力を総合的に底上げできるトレーニングですが、バランスよく英語力を伸ばすためには多読以外の学習法も組み合わせるのがおすすめです。
多読はインプットの機会を増やすものなので、アウトプットの量を増やすためにスピーキングやリスニングも並行して行いましょう。オンライン英会話でスピーキングの練習をしたり、リスニング力を鍛える時間をとったりすることで英語力がさらに上がり、多読で本を読みやすくなるという相乗効果を期待できます。
何を読めばいい? 【レベル別】多読に選びたい本
多読の教材としてどんな本を選べば良いでしょうか。
アメリカの言語学者・クラッシェンによると、第二言語習得に有効的な学習方法は「i+1」だそうです。これは、学習者(i)の習得レベルからほんの少しだけ(+1)難しい内容を選ぶことで学習効果がアップするという考え方です。
しかし多読の場合は、「i-1」の考え方がポイント。難易度がやさしく、自分の英語力で簡単に読めるものを選ぶことが重要です。なぜなら、多読では意味理解のスキルを向上させるために返り読みをしないことが大切だからです。
そこで、レベル別の多読教材の選び方を解説していきます。
【初心者】絵本
英語初心者の場合は絵本から始めてみるのがおすすめです。絵本に書かれているのは子ども向けのやさしい英文ですし、どのページにも絵があるので内容を理解しやすいでしょう。
子ども向けの絵本といっても対象年齢はさまざまで、文章が長めのものもあります。シンプルな英語から学べることも多いので、手始めに図書館で英語の絵本を探し、パラパラと読んでみるところから始めてみてください。
【中級者】子ども向けの洋書
子ども向けの洋書や自分が好きな小説や児童書の英語版も多読の教材に向いています。子ども向けのストーリーなら文章もシンプルですし、単語レベルや文法も難解でなく、適度なボリュームがあって読み進めやすいでしょう。
フィクションとして楽しめる本でも、英語学習者用にレベルが示されているものもあります。名作とされている本やヒット作もたくさんあるので、評判を調べたりして楽しめそうなものから読んでみましょう。
【中~上級者】小説、ノンフィクション、ニュース、ビジネス書
英文に慣れてきたら大人向けの小説やノンフィクションから自分の好みに合うものを選んでみましょう。作家によって文体やストーリーの構成がさまざまなので、読みやすくて好みに合う作家を見つけたら他の作品も読んでみると良いですね。
また、普段あまり本を読まない人やビジネス英語を学びたい方にはニュースやビジネス書もおすすめです。朝のニュースチェックを英語で行うと隙間時間の有効活用にもなります。ビジネス書や自己啓発本の中にもシンプルな英語で書かれているものもあるので探してみましょう。
ただし、ウォール・ストリート・ジャーナルなど、カッコいいイメージだからといっていきなり難しいニュースに挑戦したり、日本語でも難しいような難解なテーマを扱うビジネス雑誌などからスタートしたりしないことも大切です。児童向けに語彙レベルを限定してニュースを掲載した年鑑などもあるので、ストレスなく多読ができるものを教材に選んでください。
無料で読めるものも! おすすめの本やオンライン教材、アプリを紹介
多読のハードルになるのが、自分に合う教材を見つけ続けるのが難しいということです。そんなとき、英語学習者向けのシリーズや無料のオンライン教材、アプリなどを使えば、多読をよりスムーズに続けられます。評判の良いものをいくつかご紹介するので、ぜひ利用してみましょう。
ラダーシリーズ(LADDER SERIES)
ラダーシリーズは多読初心者にもおすすめの英文リーダーです。リーダーとは英語学習者向けや英語圏の児童のために英語教育専門の出版社が段階別のレベルに応じて書き直した読み物のこと。ラダーシリーズは日本人の英語学習者向けにリライトされ、レベルやステップごとに使用する単語を限定してやさしい英語で書かれているため、自分の英語レベルに合ったものを見つけやすくなっています。
巻末にワードリストが付属しているので、辞書をひかなくても隙間時間でも多読を実践できます。ジャンルも幅広く、童話や物語、スティーブ・ジョブズ・ストーリーなどの偉人伝まで取り扱っているので、興味のある本に出合える可能性も高いでしょう。
ラダーシリーズ
News in levels
News in levelsは英語学習者向けに作られたニュースサイトです。同じニュースを初級者向け・中級者向け・上級者向けの3つのレベルごとに読むことができ、すべての文章に音声がついています。
スクリプトと音声が揃っており、レベルが考慮された音声スピードになっているため、多読だけでなくリスニング対策やディクテーション、シャドーイングなど、幅広い学習に活用することができます。ニュースの内容は政治・経済に関するものからエンタメまで幅広いので、飽きずに毎日読むことができるでしょう。1記事あたり約500文字程度と、ボリュームも程よいので続けやすいのもポイントです。
News in levels
Buzzfeed
Buzzfeed(バズフィード)は、海外のエンタメ記事を中心に、時事ニュースからカジュアルな話題までさまざまなニュースを読めるアプリです。料理や映画、ファッションなど幅広いテーマについての英文を読むことができ、内容もライトで面白いので飽きずに続けやすいでしょう。
アプリの設定で「エディション」を英語圏(アメリカ・カナダ・オーストラリア)にすると、英語でのリーディングが可能になります。
Buzzfeed
Kindle
洋書を取り寄せるのは時間がかかることもありますが、Kindleなら洋書を100冊以上読めるのですぐに多読を始めることができます。
電子本の魅力は価格と手軽さ。ペーパーバックの洋書は価格が高めですが、電子本なら紙より割安で手に入ることも多いです。また、分厚いペーパーバックは持ち運びが大変ですが、スマホやタブレットで読める電子本なら移動時間にもさっと読みやすくなります。中には無料で読める作品もあるので、試してみても良いですね。
リーディング学習がどうしても続かない方へ
シャドーイングや音読をはじめとした英語学習のあるあるとして、なかなか学習が続かないということが挙げられます。
何度も同じ文を繰り返すことに飽きる場合や、英語学習の伸びを感じられないのでモチベーションの維持が難しい場合など。
これらを乗り越えて、学習を習慣化するコツはあるのでしょうか。
習慣化の3ステップを取り入れる
プログリットでは、行動経済学の観点から、学習の習慣化に対して3つのステップを提唱しています。具体的に、以下の三つを繰り返し行うことが求められます。
- トリガー(=行動が生じるきっかけ)
- 行動(=目標とする行動)
- 報酬(=行動によって得られるもの)
「トリガー」とは行動が生じるきっかけで、日常の小さな習慣や特定の場所・時間がこれに該当します。次に「行動」は目標とされる具体的な行為であり、心理的・物理的・知識的な障壁が少ないほど、特定の行動を継続させやすくなります。「報酬」は行動を続ける動機付けとなるもので、直接的かつ多面的な報酬が効果的です。これらのステップを学習に適用することで、習慣化を促進し、より効率的に目標を達成することができます。
この「習慣化の3ステップ」に関して、この記事では詳しく解説をしております。具体的に3ステップを英語学習の継続にどう繋げるかを知りたい方はこちらの記事をご確認ください。
短期集中の多読+αで英語力を向上させよう
多読はたくさん英文を読んで英語のインプットを増やすトレーニングです。効果的に多読を行うことで基礎英語力を向上させることができ、英語の意味理解を速めることでリスニング力の強化にもつながります。続けることでTOEICなどの資格試験の点数も自然とアップしていくので、興味のある本を使って楽しく続けてみましょう。
ただし、英語力を総合的にアップさせるには多読だけでなくスピーキングやリスニングなどのアウトプットをする勉強法も並行して行うことが重要です。プログリットではマンツーマンのコーチングサービスにより、多読やスピーキング、リスニングなどを自分に合ったバランスで取り組むことで、英語学習の効果を最大限に高めるサポートをします。無理なく、無駄なく英語力を身につけることができるため、短期集中で英語力を向上させたいビジネスパーソンに選ばれています。興味がある人はぜひ一度無料カウンセリングをお試しください。
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