グローバルなビジネスの場面では、取引先に英語で見積書を提出する機会が増えています。
しかし、いざ英語で見積書を作成しようとすると、「どのような構成にすべきか」「専門的なビジネス表現はどう書けばいいか」など、多くの疑問が浮かぶものです。
日本語の見積書と異なるフォーマットや表記に戸惑うことも少なくありません。
本記事では、英語見積書の基本構造と記載事項、実際に使えるテンプレートをわかりやすく解説します。
あわせて使用する見積書をメールで送信する際の英語表現についても触れ、実務ですぐに役立つフレーズを紹介します。
英米表記の違いや、取引条件の提示に関する具体例も取り上げるため、安心して取引を進められるようになります。
ぜひこのガイドを参考に、分かりやすい見積書を作成し、ビジネスの成功に役立ててください。
商品やサービスの魅力を正確に伝える見積書作成は、グローバルなビジネスにおいて重要なスキルです。
しかし、専門用語やフォーマットに不安を感じる方も多いはず。
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英語見積書の基礎知識
英語で「見積書」を表現する際、「Quotation(クオーテーション)」と「Estimate(エスティメイト)」という2つの用語がよく使われますが、それぞれ微妙な違いがあります。
Quotation は、具体的かつ固定された価格を提示する正式な見積書です。
発行後、提示した価格は通常変更できず、一定期間の間有効とされます。
製品の販売や定型的なサービス提供に使われることが多く、契約前の正式な合意形成の資料として利用されます。
一方、Estimate は、プロジェクトやカスタマイズが必要なサービスなど、詳細がまだ確定していない場合の概算見積として用いられます。
作業内容や要件が変わる可能性があるため、後から価格が調整されることもあります。
両者の違いをまとめると、Quotation は価格が固定される正式な提示であるのに対し、Estimate はあくまで予測や概算の提案です。
取引の性質やビジネスの状況に応じて、どちらを使うか判断することが求められます。
例えば、顧客が購入検討している上で大まかな予算を知りたい場合は、最初はEstimateで提出し、内容が確定したら最終見積とQuotationを出すことになります。
Estimate段階は、金額の変更が容易ですが、Quotation段階では金額の変更は相応の利用が必要です。
正しい見積書の種類を理解し適切に使い分けることで、相手に慣れている印象を与え商談成約につながるでしょう。
英語見積書の基本構成と記載事項
英語見積書に必要な以下6つの項目について解説していきましょう。
- タイトルの記載例
- 発行者の企業名・住所・連絡先の記載例
- 発行日と有効期限の設定方法
- 見積書番号と管理方法
- 内訳部分 商品名・単価・数量の書き方
- 各項目の小計・消費税・合計金額の表記
タイトルの記載例
見積書のタイトルとして使われる代表的な表現は以下のように「Quotation」「Estimate」「Pro Forma Invoice」などがあります。
タイトル例 | タイトルの意味 |
Quotation | 定価商品もしくは最終価格提示用 |
Estimate | 概算見積(不確定要素がある場合など) |
Pro Forma Invoice | 仮請求書として見積の役割を持つもの |
それぞれの表現は用途によって異なるため、取引の目的に応じて使い分けることが大切です。
発行者の企業名・住所・連絡先の記載例
企業名・住所・連絡先は、相手が問い合わせをしやすいようにするために重要です。
項目 | 記載例 |
企業名 | XYZ Corporation |
住所 | 123 Main St., Tokyo, Japan |
電話番号 | Phone: +81-3-1234-5678 |
メール | Email: sales@xyzcorp.com |
注意点としては、住所や連絡先は正確に記載し海外取引の場合は国名の記載も忘れないようにしましょう。
時間が経過して決算時期などに過去に発行された見積書を確認したい時などもありますので問合せ先の記載は正確に記載しましょう。
発行日と有効期限の設定方法
発行日は見積書が作成された日付を示し、取引における正式な書類としての位置づけを明確にします。
有効期限は提示された価格や条件が有効である期間を示し、取引相手がその期間内に契約を決定することを促す役割があります。
見積書の有効期限は、通常「30日間」や「60日間」などと設定されることが一般的です。期間内であれば、見積書に記載された価格や条件が変更されずに有効となります。
期限の明記には、以下のようなフレーズを使用します。
Valid until 10/31/2024
有効期限:2024/10/31まで
valid for 30 days
見積もりは30日間有効です
有効期限を明示することで、取引相手に迅速な決断を促し、価格や条件が変動するリスクを防ぐことができます。
見積書番号と管理方法
見積書の管理には一意の番号が欠かせません。
たとえば、以下のように管理するとわかりやすくなります。
Quotation #2024-001
年次や案件ごとに番号を付けることで、進捗のトラッキングが容易になります。
見積書番号を使うことで、発注書や請求書と対応付けができ、管理が効率化されます。
社内のプロセスが複雑な場合は、プロジェクト名や顧客名を記載するのも効果的です。
内訳部分 商品名・単価・数量の書き方
商品の名前、単価、数量、合計金額を明確に示すことで、取引の透明性が保たれ、後のトラブルを防ぐことができます。
商品名(Item / Description)は、できるだけ具体的に記載しましょう。
例えば、以下のような表記が一般的です。
Item: Laptop (Model XYZ)
Description: 15-inch screen, Intel i7 processor, 16GB RAM, 512GB SSD
商品やサービスの名前だけでなく、スペックや詳細も含めることで、相手が提供される内容を正確に理解できるようにします。
単価(Unit Price)は、提供する1つの商品または1つのサービスの価格を示します。
単価の後には通貨のシンボル($や£など)を明示します。
Unit Price: $1,200.00
価格が複雑であれば、補足情報として「per unit」(単位当たり)や「per hour」(1時間当たり)などの説明を加えると、より明確になります。
数量(Quantity)は、その商品やサービスをどれだけ提供するかを示します。
通常は数字で記載し、単位が必要な場合はそれも加えます。
Quantity: 10 (laptops)
Quantity: 50 (hours of service)
内訳部分をしっかりと明記することで、取引相手が見積もりの詳細を簡単に確認でき、価格に関する疑問や誤解を減らすことができます。
各項目の小計・消費税・合計金額の表記
見積書において、小計、消費税、合計金額はコストを明確に示すために欠かせない部分です。
小計(Subtotal)は、商品やサービスの単価と数量を掛け合わせた金額の合計です。
消費税やその他の手数料を含まない金額を記載します。
Subtotal: $12,000.00
消費税(Tax)や付加価値税(VAT)など、税金が適用される場合は、税率と金額を明確に記載します。
税率は地域や国によって異なるため、適用される税率を明記し、計算された税額を示します。
例えば、アメリカでは消費税(Sales Tax)を、イギリスやヨーロッパでは付加価値税(VAT)を記載することが一般的です。
Tax (10%): $1,200.00
税率を記載する場合、取引先の国の法律や規制に準拠することが求められます。
合計金額(Total)は、小計に消費税やその他の手数料を加えた最終的な金額です。
合計金額の前に「Total」や「Grand Total」といったタイトルをつけて、見積書の中で目立つように表示することが重要です。
Total: $13,200.00
通貨のシンボルや税率は取引相手の地域に合わせて記載することを忘れないようにしましょう。
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英語見積書の実例とテンプレートの使い方
英語見積書を正確かつ効果的に作成するためには、実例を参考にし、テンプレートを活用することが役立ちます。
ここでは、見積書の代表的な構成に基づく実例と、テンプレートを使った書き方のポイントを紹介します。
英語見積書の実例
英語見積書の実例を以下に紹介します。
英語見積書のサンプル例
見積書の項目、金額、税金を一目で確認できるフォーマットにすることで、取引先にもわかりやすくなります。
顧客情報や日付を正確に記載することで、信頼性を高め、スムーズな取引につながります。
テンプレートの使い方と活用のポイント
テンプレートを利用することで、作成の効率化と記載ミスの防止が期待できます。
ポイントを押さえておくと便利になります。
ExcelやWordのテンプレートを利用する場合はレイアウトが整っているテンプレートを使用すれば、素早く見積書を作成できます。
テンプレートに含まれる各要素(項目、税率、会社情報)を案件に応じて調整し、海外取引の場合は税率や通貨を必ず確認します。
さらに顧客へのメール送付時に使う英語フレーズもあらかじめ準備しておくと便利です。
テンプレートを活用することで、作業効率が向上し、見積書を短時間で作成できるようになります。
英語見積書のメール送信マナーと例文
英語で見積書を送る際には、ビジネスマナーを守り、丁寧かつ明確に伝えることが重要です。
依頼、確認、フォローアップのフレーズと、用途に合わせたメール文例を紹介します。
見積書メールの英語フレーズ(依頼・確認・フォローアップ)
見積書メールでの依頼・確認・フォローアップは、ビジネスの基本的なやり取りです。
依頼では見積書送付をお願いし、確認では受領や内容確認を行います。
フォローアップでは回答を促し、円滑なやり取りを維持します。
依頼のフレーズ
新規見積依頼の際、相手に丁寧に要望を伝える表現です。
Could you please send me a quotation for 10 laptops ?
10台のパソコンの見積書を送っていただけますか?
I would appreciate it if you could provide a quotation by October 31, 2024.
2024年10月31日までに見積書をご提供いただけますと幸いです。
確認のフレーズ
送信済みの見積書の進捗を確認する際に使用する表現です。
Just following up on the quotation I sent last week. Have you had a chance to review it?
先週お送りした見積書について確認ですが、ご確認いただけましたか?
Please let us know if you need any clarification on the quotation.
見積書に関してご不明点がありましたらお知らせください。
フォローアップのフレーズ
未返信の見積依頼や検討中の案件を再度確認する際のフレーズです。
I would like to confirm if you have received our quotation sent on October 31, 2024.
2024年10月31日に送付した見積書をご確認いただけましたでしょうか?
We would appreciate a response at your earliest convenience.
できるだけ早くご返信いただけると幸いです。
見積書をメール送付する際の英語文例
見積書をメールで送付する際の英語文例は、プロフェッショナルで明確な表現が求められます。
件名で見積書の内容を明示し、本文では見積書の添付を伝え、質問や追加情報があれば対応する旨を記載します。
件名例
件名例を記載します。どの見積書か一目でわかるような記載にします。
Quotation for Software License
ソフトウェアライセンスの見積書
Follow-up: Quotation for Software License
ソフトウェアライセンスの見積書についてのフォローアップ
新規見積書送付時のメール例文
新規見積書を送付する際のメール例文は、クライアントに丁寧かつ簡潔に内容を伝えるための重要なツールです。
冒頭で見積書の送付目的を明確にし、添付した見積書の確認を依頼する表現が含まれます。
さらに、質問や不明点があれば気軽に連絡を取れるよう促す一文を加えることで、クライアントが安心して問い合わせできる環境を整えます。
Subject: Quotation for Software License
Dear Mr. Smith,
I hope this email finds you well.
Please find attached the quotation for the software license you requested. Should you have any questions or need further clarification, feel free to reach out to us.
We look forward to your feedback.
Best regards,
John Doe
XYZ Corporation
件名: ソフトウェアライセンスの見積書について
スミス様
お世話になっております。
ご依頼いただいたソフトウェアライセンスの見積書を添付しております。
ご質問やさらなるご説明が必要な場合は、お気軽にご連絡ください。
ご返答をお待ちしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
ジョン・ドウ
XYZ Corporation
英語の見積書で気をつけるポイント
英語の見積書では、日本語とは異なる文化や商習慣が影響するため、細かい表記の違いや取引条件の提示方法に注意が必要です。
アメリカ英語とイギリス英語の表記の違いや支払い・配送条件の例文を紹介します。
アメリカ英語とイギリス英語の表記違い
英語には地域ごとの表記の違いがあり、ビジネス文書でも混乱を避けるために、取引相手の地域に合わせた言葉遣いを選ぶことが大切です。
主な違いを以下にまとめます。
イギリス英語については、以下の記事でも解説していますので、是非こちらも参考にしてください。
スペルの違い
「Color (米)」 と「Colour (英)」、「Check (米)」と「Cheque (英)」
アメリカ英語では短縮されることが多く、イギリス英語では古い綴りが残っています。
ハイフンの使用「Subtotal (米)」と「Sub-total (英)」。
アメリカでは一語にまとめる傾向が強いのに対し、イギリスではハイフンを使うことがあります。
日付表記の違い
「MM/DD/YYYY (米)」 と「DD/MM/YYYY (英)」。
日付の表記方法には、米国式と英国式の違いがあります。
米国式(MM/DD/YYYY)は、月、日、年の順に日付を表記し、例えば2024年10月31日なら「10/31/2024」となります。
英国式(DD/MM/YYYY)は、日、月、年の順で「31/10/2024」のように表記されます。
取引先の国に合わせて適切な日付表記を使用することが望ましいです。
通貨単位の位置
「$100 (米)」と「 100£ (英)」。
通貨のシンボルの位置や単位が異なるため、相手国の慣習に合わせることが求められます。
違いを把握し、見積書での表記を一貫させることで、相手に誤解を与えずスムーズなコミュニケーションが図れます。
小数点と桁区切りの違い
小数点は、アメリカ英語、イギリス英語ともに「.」(ピリオド)を使いますが、一方で、ドイツなどヨーロッパの一部では「,」(コンマ)が使われることもあります。
例:アメリカ → 1,234.56 / 一部ヨーロッパ(ドイツなど) → 1.234,56
桁区切り:アメリカでは3桁ごとに「,」(コンマ)を使いますが、ヨーロッパの一部では「.」(ピリオド)を桁区切りに使います。
例:アメリカ → 1,234,567 / 一部ヨーロッパ(ドイツなど) → 1.234.567
取引条件を提示する際の英語文例
見積書では、支払い条件や配送条件を正確に提示することが重要です。
支払い条件(Payment Terms)取引の信頼性を高めるために必須の項目となり、内容を十分に理解する必要があります。
たとえば、「Due On Receipt(請求書受領後すぐ支払い)」「COD(商品到着時支払い)」「CIA(前払い)」などが一般的です。
支払期日が決まっている場合は「Due Date」に具体的な日付を記入し、不確定な場合には「TBD(未定)」を用いると適切です。
以下に、使われる条件の英語フレーズを紹介します。
Payment due within 30 days of invoice date
請求書の日付から30日以内にお支払いください。
50% deposit required upfront, with the remaining balance due upon delivery
納品時に残額をお支払いください。
納品条件(Delivery Terms)には、納品日や納品方法、場所を明記します。
たとえば、「Delivery Date(納品日)」といった条件を記載し、取引相手が納品の流れを理解しやすくすることが重要です。
Delivery Date: October 31, 2024
納品予定日:2024年10月31日
取引条件を明確に提示することで、誤解を防ぎ、取引相手との信頼関係を築きやすくなります。
まとめ
英語での見積書作成は、海外取引や国際的なやり取りが増加する中で、ますます重要になっています。
見積書は契約前に商品の価格や条件を明確に提示する重要な文書であり、内容は取引先との信頼関係を築く基礎となります。
英語で作成する際は、適切なトーンや簡潔な表現を心がけることが重要です。
見積書を送信する際には、ビジネスメールのマナーを遵守し、相手への敬意を示す表現を用いることが求められます。
独学で英語の見積書作成に対応することは難しい場合があります。
そんな時、英語学習を目的としたコーチングサービス「PROGRIT」の活用がスキルアップに役立ちます。
PROGRITのビジネス英会話コースでは、英語でのコミュニケーション能力が効率よく強化できるため、見積書作成を含むビジネスシーンにおいて自信を持って対応できるようになります。
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