プログリットのアンバサダーである本田圭佑さん。実は、プログリットが誕生して以来、最も長く受講している方になります。2021年5月でなんと1,000日を達成しています。今も受講歴を伸ばし続け、日々、英語学習を続けています。なぜこれほど英語学習を続けることが出来るのか。今回は、本田圭佑さんに英語学習のきっかけや目的、継続させる秘訣などを語ってもらいました。
英会話を10年やっても進歩しなかった。
本日はお忙しい中、ありがとうございます。2018年からプログリットでの受講をスタートしていますが、まずは英語学習のきっかけを教えていただけますでしょうか。
本田:
当時、2018年にオーストラリアのチームに移籍することが決まっていました。それまで海外で12年以上生活していたんですが、英語圏で暮らすのは初めてで。いい機会だなと思い、イチから勉強し直そうと思ったのがきっかけです。
それまでは、どんな英語学習をしていましたか?
本田:
独学で色々やったり、Jリーグの名古屋グランパスにいたときは英会話教室に通ったりしましたが、上達してる実感はそこまでなかったですね。間違ってても何か相手と話せるみたいなのは当時から強みだったんで、感覚的に分かったらその場のノリで返せばいいみたいな。そんな感じだったんですよね。
英語が出来てなくても、片言でもコミュニケーションできちゃう感じでしょうか。
本田:
まさにその通り。とくにネイティブスピーカーがいないヨーロッパに渡ってるんで片言同士通じ合える。英語ネイティブな人がいないんで、基本的にゆっくり話しあえるんです。ヨーロッパに10年いて文法は変わらない、使う単語も変わらない、LとRの発音も適当で、ずーっと一緒なんですよね。それで不自由しなかったんですよ。
日常生活とかだとフレーズが一緒でも問題ないですもんね。
本田:
そうなんですよ、発音も含めて僕の喋る英語はホングリッシュって言われてるんですけど、ホングリッシュが通じちゃうんで発音がおかしかろうと問題なかったんです。ただ、ヨーロッパにいた10年間で毎年アメリカにビジネス絡みで行くことがあったんですが、そこでは打ちのめされた記憶しかない。ノンネイティブとネイティブって天と地の差があるんだなと。ネイティブがいる地にいくなら色々苦労するだろうなと思い、やり始めました。
本田さんだと通訳をつけて対応することもできると思うんですが?
本田:
通訳もそうですし、AIの自動翻訳の技術が進化するとも言われてます。たしかに大量の作業を求められる英語関連の仕事は、今後大きく変わっていく可能性があります。でも、マネジメントとか属人的な仕事に関する領域は、AIが取って代わるには、だいぶかかるのかなと。飲食店のメニューを翻訳するようなタスク的な仕事は意味が通じればいいですが、マネジメントには、なぜその言葉を選んだのかどんな気持ちで話したみたいなパーソナリティがかなり重要です。その単語を選んだ本人の意図やそういう気持ちって、本人が話して初めてコミュニケーションとして成り立つのかなと。
自ら話す意味、意義があるということですね。ちなみに英語を学ぶ際に目的やゴールはあったのでしょうか?
本田:
英語を学ぶ目的、理由は2つあって、1つは、世界で成功するためのツールですよね。最初はサッカーがスタート地点でしたが、今はビジネスでさまざまなことに挑戦しているので、世界共通語として英語が必要です。もう1つは、直接コミュニケーションが取れること。お金を稼ぐとか成功するといった人生の成功の軸ではなく人としての幸せの軸で考えたときに、その人とわかり合いたい、その人を知りたい、マブダチになりたいってすごく大事じゃないですか。直接コミュニケーションが取れるというのは、自分を認めてくれることの1つだと思っています。だから僕は、この2つ目の理由をかなり重視しています。直接伝えることで相手に認められて、かつそれで友達になって自分の幸せにつながっていく。
なるほど。成功のために必要なツールとしての英語とつながりを求めて幸せになるための言語として必要ということですね。
本田:
そうなんですよね。日本語を喋れる人って、1億人しかいないんですよ。でも、世界には、76億人いる。僕は、日本だけじゃなく世界に発信していきたいので。
プログリットは、受講してみていかがですか? 受講を始めたのは、だいぶ前のことになりますが(笑)
本田:
2018年くらいに山碕さん(副社長)にLAに来てもらって英語のテストをやってもらったんですが、僕は全く出来てないことを痛感。こんなにもリスニングができてないんだなと。結局、僕がダメだったのは実践で学ぶことばっかりやってたんですよ。全部、会話形式で解決しようとしてました。基礎的なことをやらなかったんですよね。子供が耳で覚えていく、学んでいくみたいな感覚で俺も学べるだろうと頭のどっかで思ってて。僕の反省点としてみなさんに伝えたいことは、早めに体系的に英語学習をやるべきだっていうのは間違いなく思います。特に感覚で進めてる方とかは絶対、総合的に学んだ方がいいです。僕が感覚で進めて10年間ホントに進歩しなかったんで。ずっと同じことをやり続けてただけでした。英会話だけだと、自分の課題にピンポイントにアプローチできてないんですよ。何がダメなのか何が出来てないのかきちんと把握して、そこを改善していかないと。英会話だけやるのは、サッカーでめちゃめちゃ実戦だけをやって練習やらないのと一緒。実践だけやっても当然ながら結果を出せないわけで。
なるほど。英語学習においてインプット・アウトプットの割合は、インプット8でアウトプットは2っていうのが一番良いと言われてます。ただ、日本人の方でよくやりがちな間違いが、どうしてもこれを逆にしてしまうんですよ。
本田:
僕はインプット1、アウトプット9でしたね
1000日継続させる、3つのコツ
そんな本田さんが今では1,000日以上プログリットを続けているわけですが、それだけ継続できるポイントを教えてください。
本田:
ポイントは3つあります。1つ目は、朝一にやること。夜型の人もいるかと思うので、なんとも言えないですが、基本的には、後回しにしないってことです。そもそも皆さん忙しいと思うんですよ。ミーティングが長引いたり、会食が長引いたり、何か子供が怪我して病院に連れて行かなければならないとか。何かと皆忙しい。だから、そういうのが何にもない聖域を作るんですよ。それが朝一です。ただ、夜型の人は、世の中にいると思ってるんでなんとも言えない。そこは本人がもし、夜の方がマジで頑張れるんだったら否定しないです。うまく自分のやり方を見つけてやればいいんじゃないかなと。基本的には、僕は朝を勧めます。
1つ目が、朝一ですね。
本田:
2つ目は、1つ目と関連するのですが、朝一やるためには睡眠時間の確保ですね。夜早く寝るってこと。僕の理想は、夜9時に寝ようとしてます。子供より早い時間です(笑)。で、朝の5時に起きる。なので、8時間寝るのが理想です。ただ、やっぱり8時間睡眠は難しくて。もう気合ですよね。任務になってます。僕らアスリートにとっては寝ることが任務ですからね。でも、結果的には、10時くらいに寝ることが多いですかね。どちらにしても、朝一やるためには、睡眠時間を確保することがすごく大事です。
なるほど。では、最後の3つ目は?
本田:
寝るときに携帯をフライトモードにすることです。できるだけ周りからの連絡をシャットアウトするんですよ。僕は、朝の英語学習をやるときに多読、文法、単語、シャドーイングの順番でやるんですね。この最初の多読、文法、単語はフライトモードのまんま、ネット環境が通ってなくてもやれちゃうんですよ。で、フィードバックがあるシャドーイングだけは、そこでフライトモード解除にして、ネットを通して山碕さんからのフィードバック見るんです。だから、自分だけの聖域を守るために、フライトモードでしたままシャドーイングまでたどり着きたいんです。寝るときに、フライトモードにするというのはすごくオススメです。
朝起きてすぐ学習するためにフライトモードが有効ということですね。ただ、それでも、モチベーションが上がらないときってあると思うんです。そういうときは、どうしてますか?
本田:
モチベーションがホントに低いときってあるじゃないすか。なかなか今日はつらいってときみんなあると思うんすよ。そんときのコツは、もう質は捨ててしまっていいです。そういうときもあるんです、人間なんで。それは全部完璧な気持ちを強く保てるときなんかないんです。それはそうです、僕だって一緒です。そんときは質は捨てていいです。その代わり、とにかく課題をやる。それだけです。それなら出来るでしょ、皆さんも。
なるほど。質にはこだわらず、何でもいいからやるって感じですね。
本田:
つらいときはね。つらいときはただ提出するっていう日もあっていいんです。その代わり、それは反省しないとダメです。そんな日ばかりだと意味がないんでね。
確かにそうですよね。さぼると徐々にさぼりぐせがついちゃいますからね。それだったら質が下がってもいいから、とりあえずやるっていうのは大事です。
本田:
人って誰しもやり続けたら、やらなくなることが気持ち悪いっていうのは人間の本能であると思うんですよ。歯磨きや洗顔とかも、そうだと思うんですよ。なので、1日やらないことが嫌みたいな状態ってたぶんみんなが知ってることだと思うんで、そこまでば続ければいいのかなと。
それだけ続けるのってすごいことだと思うのですが、本田さんの特徴として目標設定がすごい高いと思っていて、何か目標設定をする上で大事にされてることってありますか?
本田:
最終的なゴールがあるとして、そこにたどり着くまでの目標を何個も設定していくってのが大事です。例えば、英語でネイティブスピーカーレベルになりたいというゴールがあったときに、そこにたどり着くのは遥か先の話。僕が1,000日やっても当然ながらたどり着けないレベルなわけですよ。 でも、その過程に成功体験がないと続けられないじゃないですか。なので、そこに行くまでの目標を上手に何個も設定する。米英語で記者会見を受けるとか、アメリカのビジネス系取材を英語で受けるとか、難易度をいくつか作ってそのレベルを自分なりに分けて達成したいものを間に入れていく。たとえ達成できなかったとしても、最終ゴールにはきっと近づいている。だいたい2割ぐらいできてたら良しとしていいんじゃないですかね。僕、自分のことを2割バッターだと思ってて、2割ぐらいしか達成できないんですよ。
高い目標だからその2割の達成でもかなりいいところに行ってるって感じですかね。
本田:
そうですね。2割達成したら僕の中でだいたい日本一になれる目標を設定しかしないんで。だから、自分のゴールは全然達成できてない。ワールドカップも優勝できてないし。そういう感じで人生は進んでいくんじゃないですかね。
大きな目標設定をしても、人によっては今日はこれくらいのレベルにしてしまおうってあると思うのですが、どういった気持ちで大きな目標に向き合っているのでしょうか?
本田:
大きな目標は設定しつつも、なんかあんまりそこには囚われていないってことですかね。ちょっと矛盾するような言い方なんすけど、夢は意識しないとダメですが、囚われてるのと意識するのは違うのかなと。囚われるべきはこの目の前であって、目の前の一歩一歩の成長に執着する。だから例えばワールドカップで優勝したいとかめっちゃ遠いとこの目標は意識して忘れないようにはしなくちゃいけないんですが、そこに固執してがっかりするようなことは全然なくて、っていうのはまだまだ距離があるんで。それよりも今日の成長に自分でめちゃめちゃ喜んで、鼓舞し続けられてることが大事。それなりに毎日納得感があって、毎日ハッピーってのがあるといいんじゃないかなと思います。
自分が弱いからこそ、大きな目標を口に出す
なるほど。あと本田さんはメディアで達成が難しそうなことを口にしているのがすごいなと思うことがあります。
本田:
それは自分の弱みを知ってるからです。そんな大した魔法があるとか自分が強い人間というつもりはなく、逆に弱いからこそ口外する必要があるって思ってて。
というと?
本田:
僕がだいたい外向けに言うのは自分に対しての逃げ道をなくすっていうのもあるんで、大事なことだと思ってます。
本田さんご自身がそんなに強くないって思っているからこそ話そうってことですか。
本田:
間違いないです。だから、本当に賢くて成功する人は強いんじゃなくて自分が弱いってことを理解して、どうやったらうまくそこをドライブできるかやり方を知ってる人間なのかなと。むしろ成功しない人というのは、めちゃめちゃ気持ちが強いんだけど何でも頑張って追い込んじゃってる人。やり方をうまく見つけられずにストレスで潰れてしまう人はたくさんいると思ってて。そういう人たちは本当にもったいないと思います。頑張り屋さんなのに全然結果出ないみたいな。そういう人をたくさん見てきました。だから、自分を伸ばす、自分をより高めていくのは不変かなと思いますね。
根本にあるのは、ご自身の成長ということでしょうか。
本田:
いやもうそこ以外ないでしょ。僕思うんですよね、人が人として生きてる限り、自分をどう高めていくかが究極系だと思うんですよ。 どんだけビジネスで成功しようとどんなにサッカーがうまかろうと今言ったように継続するために工夫したりとか学び続けるとか自分と向き合い続けるみたいなのは、何か自分の弱さを知ることを含めて、これがやっぱ人生楽しいなと。結局、なんで英語やってるのかって、その人の目的ありきだと思うんです。 目的ありきだからこそ、そのベースとなる勉強法は、それぞれの人に合ったカタチで極めていってほしい。英語が目的やったら、僕は絶対頑張らないと思います。
なるほど。日本人の方で英語が下手でなかなか喋れない、恥ずかしいといった気持ちがある方がけっこういるのですが、どう思いますか?
本田:
あぁ、なるほど、人前でインタビューを受けるとなって緊張したとするじゃないですか。で、緊張する理由っていうのを自分がスピーチをするまでにちゃんと消化しないと駄目です。5分後に自分は話さないといけないってドキドキしてるとするじゃないすか。その時に自分の悩みや緊張感を俯瞰して見れると緊張が和らぐかなと。あとは、人は期待に応えようとすればするほど緊張する。インタビューされて理解できなかったらどうしようとか。 期待に応えたいという気持ちを捨てることができれば、もう大丈夫。
自分を俯瞰して見れるようにして、あまり期待に応えようとしすぎないと。
本田:
そうです、そうです。何かうまくやろうと思ってるというのは誰かの期待に応えたり、認められたりとか、色んな自分の欲求を満たせなかったらどうしようっていう不安が緊張に繋がっている。 人にどう思われるっていうことを捨てることができれば、そのインタビューをマイペースに恥ずかしさを感じず、1つの映画のようにも楽しめます。
それは今までに何度も失敗、緊張したからわかる話しなのか、その理由を分析したから気づいたことですか?
本田:
経験、場数ですね。 なので僕が皆さんよりももし、緊張しないということが仮に数値でわかっていたりすると、それは先天的なものじゃなくて後天的なもの。僕がみんなより場数を踏んでることが理由だと思います。仕事のプレゼンを英語でしようとしたときに英語の知識はついてるけど、いざ発揮しようと思うとアウトプットできないっていう人は、単純に場数が足りないだけ。なので繰り返しやっていくと、徐々に慣れてくるのかなと。とにかくまずは失敗をさらすっていうことを恐れないこと。失敗をポジティブに考えるってことですよね。
なるほど、失敗をポジティブに捉えるんですね。
本田:
失敗の数イコール経験なんで、経験の数っていうのは言い換えると失敗の数のこと。だから、成功しまくってればいいんですけど成功しまくってるやつはまだ人類で僕、見たことないし、論理的には難しいだろうなと。失敗の数イコール経験の数イコールたまに成功になる。
「失敗の数=経験の数=たまに成功」っていいですね。
本田:
日本人で、グローバルを意識していて、英語を学んでいて、このインタビューを読んでいるって、もうあまりにも共通項が多すぎると思うんで、似た者同士っていうことで、本当に仲間だと僕は思ってます。それぞれ違う道に進んで違う目的で英語をやってるかもしれないけど、割と僕、将来一緒に何かでご一緒する機会があるんじゃないかなと思ったりしてるんで。それまでお互いね、自分を高めましょう。いつか皆さん、どっかでお会いしたら、英語でグローバルな仕事を一緒にできればなと思ってますんで、よろしくお願いします。